手を見ている
銀猫

指環をつけようとして
指を眺めたら
関節がすっかり変形した
人差し指と
中指と
薬指とが並んでいる

少しばっかり
痛々しくもあるそれは
持てる以上の力と知らず
がむしゃらに使ったせいだろう

マニキュアを塗ろう、と爪に囁くときも
誰かを包むときも
この曲がった指がこっちを見る

けれど
何も持たぬままに
歴史を塗り替えながら
きっと少しずつ指先は曲がったのだ

それは
勲章なのかも知れない、と慰めても
いずれ不恰好な生き方に
とても似合いの両の指

時々酷く痛んでは
がむしゃら加減を教えてくれる
わたしの
手、

手を見ていると



自由詩 手を見ている Copyright 銀猫 2006-09-13 19:33:56
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