狗尾草のころ
松嶋慶子
空を
見上げようともしない、君の
泣きはらした頬の ぬくもり が
染みる
舌足らずな恋は
時を止めるすべも知らず
いたずらに季節ばかりがすぎて
最後の秋
西日を受けた
一面の
狗尾草
(
えのころぐさ
)
は
君をなぐさめながら
風を待っていた
君はうなだれながら
その柔らかな輪郭を
上目遣いに
見つめ続けるだけで
いつか君は
思い出すのだろう
高く遠い空に
狗尾草
(
えのころぐさ
)
の金色の風の匂いを
自由詩
狗尾草のころ
Copyright
松嶋慶子
2006-09-13 16:17:28