大人になって、僕は
たりぽん(大理 奔)
魚の名前や花の名前に似ているけど
それとは違う言葉
直線ではなく曲線にも似ていない
それでも閉じている言葉
数え切れないそれらを
生み出しては忘れ去り
墓標をたてては
思い出と気取ってみたりする
中身のない棺桶の
アクセルをふかして
星空に進路を取っても
進むべき道は深き闇だけ
輝きときらめきの隙間を
鳥の名前や風の名前に似た
二周期五族の元素で満たしても
ありえない二人の世界
せめて、吹く口笛の
届く先に見つけたい
君の名前に似た思い出
蛍眠る原っぱの深き闇
いつのまにか
大人になった僕は
墓標にむかって思い出などと
そんな約束を
繰り返したりはしない