盲愚螺
プル式

その時モグラは変だと思いました。
目蓋をつたう涙を止める事が
出来無かったからです。


彼はその土を一生懸命に
生きがいをかけて
まっすぐに掘り進んだと
心の底から信じていたのでした。

けれどもその一生を終える
最後のひとかきをかいた時
なぜだか懐かしい
しかしとても悲しい光が
彼を包みました。

ここが天国なのだと思いました
しかし彼は再び真っ黒な
本当に真っ黒な
とても静かで温かい安らぎに
包まれていったのでした。

そしてこれこそ本当に天国なのだと
彼は心の中でつぶやきました。

モグラは泣いている様な
笑っている様な
不思議な
しかし
とても幸せそうな
顔をしていました。


未詩・独白 盲愚螺 Copyright プル式 2006-09-12 12:51:26
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