秋空のシルエット
佐野権太
水色のキャンパス
白い花びら、ふたつ、みつ
風の描いたような君の唄
軽く手をふるハロー、ハロー
鉛筆画の微笑みは
鉛色の雫でできてるの
はじめから
うまくのれてなかった、風に
抱えたまくらの数だけ
浮かべたひつじ雲も
ほら、
お尻のほうから溶けてゆく、空に
新しくなんかないの
ただ、塗り重ねただけ
猫はいつだって瞳の奥に
孤独を隠すわ
笑ってよ
笑ったの
笑ってな
わかってる、うん
音もなく滑る
君はグライダー
花の膨らむ速度で助走する
風のライダー
秋の気流に舞いあがる、白
イージィー、イージィー
聞こえているかい
テキ、イージィー
いま、太陽のなかの、翼
逆光