初秋
かや

ふっと目覚めたら八時前で
外はどっぷり暗い
あぁ夕飯の後にうとうとしたんだなって
隣見たらあんたも眠っていて
早起きして疲れたんだろうね
親指で
いつもの頬をそっと撫でた

新しい部屋は
日当たりがよくって窓も二つ
両方開けたら風と虫の声が
さらさら流れてきた
向かいの家の二階の
窓ガラスに綺麗な満月が映っていて
星のない空見上げたけど
本物は見えなかったな
しばらく遠くの光を見てた


もう二人になって
何度目の秋だっけね
あたしは少し大人になって
あんたは少し子どもになった
数えようとしたら
お皿洗う手が止まってしまって
照れくさくってやめた

それでもきっとさ
あんたは言うよね
それはとても幸せなことだ
手のひらに洗剤の
清潔な香りが残っている

それはとても幸せなことだ
それはとても幸せなことだ




自由詩 初秋 Copyright かや 2006-09-11 11:31:13
notebook Home