【 母が残した私の証 】
豊嶋祐匠
私の左肩に
今も残る
大きなケロイド
まるで
ユーラシア大陸の
地図のようで
サッカー
日本代表の
昔のユニフォームのような
そんな炎のような
大きなこのケロイド
母と私は
慌て者で似た者同士
そして
私のケロイドは
100度の熱湯を使った
母と私の合作です
確かに熱くて
辛い思いもありました
友のイジメの
エサにもなりました
人の恐さも
汚さも知りました
コンプレックスを
容易く得られる
コンプレッサーでもありました
便利な事もあるのです
100度の
熱さが解るので
けしてお鍋は溢しません
ユーラシア大陸を
問われても
答える自信は負けません
サッカーの結果が
どうあれど
私は24時間サポーター
ケロイド手術は
お蔭さまで
多少は美男になれました
母よ
貴女が
残したケロイドに
感謝の限りを
尽くし切れるものではありません
たとえ貴女が
死のうとも
ケロイドは
貴女を語ります
貴女の
愛と至らなさと
強さと弱さと
尊さを
一生私に語るのです
貴女が
残したケロイドは
どんな
苦境も挫折にも
私と
共に在りました
そして、これからも
愛すべき
貴女の
息子である私を、証し続けてゆくのです。