【 母が残した私の証 】
豊嶋祐匠





私の左肩に
今も残る
大きなケロイド

まるで
ユーラシア大陸の
地図のようで

サッカー
日本代表の
昔のユニフォームのような

そんな炎のような
大きなこのケロイド







母と私は
慌て者で似た者同士

そして
私のケロイドは

100度の熱湯を使った
母と私の合作です







確かに熱くて
辛い思いもありました

友のイジメの
エサにもなりました

人の恐さも
汚さも知りました

コンプレックスを
容易く得られる
コンプレッサーでもありました





便利な事もあるのです

100度の
熱さが解るので
けしてお鍋は溢しません

ユーラシア大陸を
問われても
答える自信は負けません

サッカーの結果が
どうあれど
私は24時間サポーター

ケロイド手術は
お蔭さまで
多少は美男になれました












母よ

貴女が
残したケロイドに

感謝の限りを
尽くし切れるものではありません

たとえ貴女が
死のうとも

ケロイドは
貴女を語ります



貴女の

愛と至らなさと
強さと弱さと
尊さを

一生私に語るのです












貴女が
残したケロイドは

どんな
苦境も挫折にも

私と
共に在りました




そして、これからも




愛すべき
貴女の
息子である私を、証し続けてゆくのです。








自由詩 【 母が残した私の証 】 Copyright 豊嶋祐匠 2006-09-10 01:15:14
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