あまつそらなるひとをこふとて
AKINONA

ああ、あの恋はもう消えてしまったのだろうか
真夏の空の向こう側に
冷たい秋の風が連れ去っていってしまったのだろうか
空の彼方へと
螺旋の様に落ち葉が舞い上がり
夏の名残をかき消していく
留守番電話が機械的に鳴り響く午後
一時(ひととき)の夕立が通り過ぎた後
扉を開けて私は濡れたアスファルトのベランダに出て
をを、誰よりもあいした人よ
恋という魔力が永遠に消えることがないのならば
ふとした瞬間にあなたも私のことを
時々は思い出してくれているのだろうか、と
天を仰いでひとり呟いているのですよ


大好きな和歌の、下の句の折り句です。
「夕ぐれは雲のはたてに物ぞ思ふ あまつそらなる人をこふとて(古今集・読み人知らず)」より。
ちなみに上の句はこちら
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=86765


自由詩 あまつそらなるひとをこふとて Copyright AKINONA 2006-09-09 17:33:24
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