*双子の花火*
かおる


夏の熱を切り裂いて宵闇に咲き誇る花火は
彩りと音の仲の良い双子の兄弟で
光と影、それぞれの役割をちゃんと心得ている
江戸の粋を三尺玉に詰め込んで
街のイルミネーションに負けずにきらびやかに
ド派手なパフーマンスを兄が繰り広げれば
弟は気持ちよくヒュ〜ンパチパチパチと言う余韻を
引きずって人の心の奥深く楔を打つ
空しく消え去るのみだと判っていても
陰と陽、二つで一つの心意気を
見せつけているのかもしれない
人の生も所詮無から生まれて無に還るなら
せいぜい潔く
ぱっと咲いては散っていく花火みたいに
彩りの兄の派手さには足りなくても
弟に見習って長く余韻を響かせたい


自由詩 *双子の花火* Copyright かおる 2006-09-09 10:04:24
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