花と青
木立 悟




左まわり
やいばの先
痛みは光る
膝上の花


陽の差さない夕暮れに
何かがこぼれ 生まれる水紋
うすく うすく
つらなる水紋


誰も何故かを問わない日
醒めた笑顔の道の片すみ
棄てられた響きを集めるものに
花はひとり ついてゆく


地にあおむけによこたわる手の
反りかえる爪が陽に向かう
まどろみと狩りは落ちてゆく
青のなかに輪をつくる


響きはいつも足りなかった
灰をつくるには足りなかった
花は自身を棄てて歩いた
花は響きでできていたから


沈みつづけ 旋る鍵盤
色とかたちをほどいている
誰も旋さず 旋る鍵盤
昇る 昇る 水泡の道


何もない手を握りしめ
何もない日に放つとき
青はひろくひろくひとりで
遠い花を指さしている
















自由詩 花と青 Copyright 木立 悟 2006-09-08 13:06:31
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