にごらないもの
砂木

眼科で診察中
次 眼を洗うから そこに座って待ってて
と 看護婦さんに言われて

長いすのはじに腰かけ
緑内障の眼の見える範囲などかかれた
ポスターをみる

すぐ 隣りに 杖をついた おばあさんが座る
看護婦さんがきて お薬の説明などしている

さあ それじゃあ 病室へ行きましょうか
皆さん 待ってくれていますよ

えっ と 聞き耳を立てる

うん 待ってだ 一緒に行こう
後ろの長いすに座っていた おばあさん達が二人
しっかりとした声で言った

私も行きます 看護婦さんが言う
杖をついたおばあさんと 
眼に眼帯をしたおばあさん達が
ひとかたまりになって

寄り添って 
階段をゆっくり登り

ドアを開けてあげたり
きっと食事の時は
お茶をいれてあげたりするのかな

ふいに 花が咲いたように思った
ああ どこにでも 花は咲くのだな



自由詩 にごらないもの Copyright 砂木 2006-09-07 00:01:47
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