雲の鳥 
服部 剛

旅の終わりの夕暮れに 
車窓の外を眺めたら 
名も無き山を横切って 
雲の鳥が飛んでいた 

黄金こがね色に縁取ふちどられた翼を広げ 
長い尾を反らし 

心臓の辺りの薄い雲間に覗く夕陽から 
夕空に 
幾すじも放射される琥珀こはくの光 

翼を広げた雲の鳥は 
全ての山を越えて飛んで来る 

日常へと戻る列車に乗り 
瞳を閉じて眠りに落ちた 
旅人の夢の中へ 





自由詩 雲の鳥  Copyright 服部 剛 2006-09-06 09:36:44
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