東雲
霜天
もう
行過ぎてしまったのでしょうか
継ぎ接ぎを当てながら乗り継いで
ここまで歩いてきたけれど
風の叩く音に急かされて
窓を開けて覗き込めば
色と色とが混ざり合った空が
時間の流れを教えているようで
何時までもとどまったままで
声にも文字にもならない想いが
奥のほうでゆるゆると溶けていく音がしたから
私は目を閉じて そっと窓を閉めるのです
そう
君を前にして目を閉じるだけだったのは
東雲の燃えるような赤い空が眩しかったから
たぶんそのせいだったのです
たぶん そのせいだったのです
自由詩
東雲
Copyright
霜天
2004-03-09 16:27:18