茉莉花
たりぽん(大理 奔)


お店を出してくれたあの人は
やさしいひとでいい男だけど
私の好きな人じゃない
5年もごまかしてきたけれど
もう、避けられないみたい

貴女はそういうと
二人きりになった店の灯りを落とし
だからせめて
好きな男に抱かれた後の
おこぼれを差し出すのよと
口紅を拭き取り
柔らかい温もりを押し当てて
ここで抱いて欲しいと
ささやくよりは強い声で
瞳を見つめる

貴女の何を救えるのかと
左の鼓動で答えを数えながら
せめて壊れてしまわないよう
抱擁よりは強い力で
抱きしめる肩のむこう
絵の中の花が揺れる
それは茉莉花
だっただろうか

白い花が
ゆらりと揺れて






自由詩 茉莉花 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-09-02 20:57:16
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
もう一つの週末