落書きの中の教科書
ぽえむ君

教科書の世界に
自分は入ることができなかった
入口がどこにあるのかわからない

それでもさすがは教科書
わかりやすい標識と信号が
自分を中へ奥へと
自動的にぐんぐんと進ませてくれる

整然と区画された道と
理屈で仕切られた部屋を
次々に一定の間隔で
一方的にどんどんと歩かせてくれる

そんな教科書の世界を
自分の世界に入れることができなかった

義務と権利が葛藤する
やけになって
落書きしたノートに教科書を
入れてみた

教科書はするすると溶け込み
みるみるうちに
混沌とした自分の世界に
落ち着いていった

落書きの中の教科書は
何のまとまりもないけれど
自分の世界に馴染むようになった

落書きの中の教科書は
どこか楽しんでいるようだ


自由詩 落書きの中の教科書 Copyright ぽえむ君 2006-09-02 09:14:50
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