君と同じに、死が愛しい
かのこ

どうでもいいのだけれど
死んでくれとお願いされたら死にたくなる
罪を赦されたような、ふしぎに愛しさを覚え
そして、泣きたくなる
独りという存在で

猫になりたい、と漏らすと
だめだよと、君が言ったことを思い出す
猫になれない私を傍に置いていて
私は目を閉じて、そっと
君のいない世界を想像しては
恐怖している

君が
これまでにないくらい悲しそうに震えた声で話した
私が死ぬ夢のこと
泣いて警察官の胸ぐらをつかんで、君は
君は

今夜聞いた電話越しの君の声は
私を優しく突き放す痛々しい
君の香りがないだけで、だめな夜
香水のびんを枕元に置いてどうにか眠るから

お望みどおりだよ
君が死ぬ時はきっとこの腕の中だから

死んでくれと私にお願いしてくれた人
君に逢わせて、逢わせてよ


自由詩 君と同じに、死が愛しい Copyright かのこ 2006-09-02 02:43:48
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