甘いミルクキャンディー
よだかいちぞう

ぼくはミルクキャンディーを毎日舐めていた
生まれたときからずっとだ
だからいつも舐めるミルクキャンディーがどんな味をするのかなんてわからない
そんなぼくとおなじ
ミルクキャンディーを舐めつづけている
そのひとが
今日ミルクキャンディーを舐めるのをやめたのだ
そのひとは
これが自由の味だといって
ぼくたちに云いまわって
いる
ぼくは自由の味ってなんなんだいと
その人に聞くと
自由の味
それは自由の味だよ
おれにもわかんねぇよ
あのいつも舐めてる飴の包みを
剥がさなくていいってことだよ
まいにちまいにちおれらはあの包みを剥がしているじゃないか
もううんざりだとかおもわないか?
俺はな
そのわずらわしさもなにもかもなくなったのさ
どうだ
いい気分だ

でもその自由の味って何なんだい?

ああたしかに味がちがうんだよ
ミルクキャンディーの包みを剥がす鬱陶しさだけじゃなくてさ
たしかにちがうんだこの舌の感覚がな
おまえにも舐めるのをやめてみれば解るよ
口では説明できねぇんだ
俺にもどういう味がするのかわかりゃしねぇよ
でもたしかになにか違う味がするんだ
もう吹っ飛ぶんだよ
最高なんだ




自由詩 甘いミルクキャンディー Copyright よだかいちぞう 2003-04-13 19:44:04
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