サイレント、サイレント、サイレント、
いとう
雲のない
ブルー・スクリーンを仰ぎ見ても
語るべきものなど何も残されていない
サイレント、ひとつ
崩れながら包み込まれる
ネイティブ・アメリカンに
インディアン・サマーという言葉は狩られたのかと訊ねると
少し考えて
わからないと言う
興味ない
閉じていることと
分けられていることは
交わることではない
静寂こそが
語るべき場を持たない者の聖地であり墓標である
サイレント、
私たちは何も語らない
私たちはすでに保護されている
ビルのふりをしているあれは
ほんの少しの刺激でも、ほら、あのように崩れ落ちていく
どのような背景とも重なり合える私たちの
輪郭は歪んでいるので
境界がいつも
波のように揺れている
サイレント、
ブルー・スクリーンの空の下
すべての私たちが何かのふりをしている
無数の顔写真の前で
ストッキングのほつれを気にしながらシスターが祈る
ネイティブ・アメリカンと名付け直され
アメリカ人に分類された先住民族の末裔がその横を通り過ぎる
喧騒は力だ
言葉になれないざわめきが溢れるなか
空を突こうとした者が包み込まれ接点を失う
サイレント、
静寂は武器になるのか
サイレント、
私たちはいつも静かに
サイレント、
うねっている
呼吸している
九月の
少し暑い朝の前で
保護されたままで