不浄の力
恋月 ぴの

わたしが遅めの初潮を迎えたとき
母がお祝いにとお赤飯を炊いてくれた
(今の子もそんなお祝いしてもらうのかな
膨らみ始めた胸の先が痛かったりして
ちょっとだけ…おとなになった気がした
それからずっと定期的の訪れるもの
月のものとか言われたりするけど
おとこの子には気付かれたくなかったよ
(今の子はあけすけに話すのかな
でも…ある日わたしは知りました
元気なあかちゃんを生むために
繰返される儀式を不浄と呼ぶことを
土俵におんなのひとが上がれないのも
そんな理由だったような気がするよ
(どうして二十八日周期なのかな
不浄 忌み嫌われる血を流し
おんなは生きている
おんなは確かな未来を宿す
そんな日でも彼氏に求められたら
拒むことさえ出来なくって
ふたり血まみれになって
しわくちゃになったシーツに残る
おんながおんなであることのあかし
(今の子は気にしないのかな
マツキヨだとかのドラックストアで
生理用品を買い求めたとき
お店のひとが気を利かせて包んでくれる
銀色した不透明なビニール袋
何だか銀色した子宮に思えてしまって
とっても小さな心臓が
どくどくどくんと明日への鼓動を繰返す



自由詩 不浄の力 Copyright 恋月 ぴの 2006-08-30 12:14:12
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優しさを忘れないように
ちから