千三百円の刑事ドラマ
ぽえむ君

同僚の刑事が撃たれ
必死で犯人を追いかける
署内の刑事たち

寝る間も惜しみ
老いた身体をものともせず
みんなで協力して
ついに犯人を追い詰めた

ぼくはそこでテレビを消した

今日は財布を落としたのだ
千三百円と
有効期限の切れた
ファーストフードの割引券

交番に届けたけれど
書類を書かされて
それっきり

ドラマは何一つとしてない
それでいてあるのは
台本通りの決まった台詞
ごくろうさま

どっちがごくろうさまなのか

誰にもその言葉をかけられないので
とりあえず千三百円に
ごくろうさま

割引券に
お疲れさま


自由詩 千三百円の刑事ドラマ Copyright ぽえむ君 2006-08-29 21:17:18
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