こばと、言葉のアナグラム
小池房枝

空を行く
風ほどに軽く満ちていたい
鳥の翼を
ささえ得るほどに

空に吹く
風ほどに軽く満ちていたい
様々な音を
伝え得るほどに

何かあるように見えなくて
それでいい
雲はただ雲という名の現象

可視光も
全て遮らずからっぽのふりで
夜空の光を通そう

熱を吸い
また吐き出してやわらげて
暑さ寒さの運び役もして

繰り返し胸に吸い込まれ
吐き出され
きれいなうちは忘れられてる

空気ほどのあり方
残響ではなくて
未響をたたえたありあまる余白

小鳩という言葉のために
言葉という小鳩のために
そんな在り方
 


自由詩 こばと、言葉のアナグラム Copyright 小池房枝 2006-08-27 23:58:10
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