北極星は北に見える
プル式

ありふれた背中には
きっとそれぞれの想いがある
流れ出した世界の中で
あの頃の事を考える

夏のラジオを聴いて
気が狂いそうに
泣いて叫んだその後に
山の葉が赤くなる頃

何を求めて生きたのだろう
愚かな夢を見たのだろうか
幸せな想像が出来たのだろうか
時代を渡るには余りにも小さな舟は
もうすぐ最後の一舟になるだろうか

僕らはその船乗りが作った
大きな船の中で生まれたから
漕ぎ出す術を知らない

船乗りはもう港に帰った
僕らは自分で漕ぎ出さなければならない
僕らに幸せという物が分かるのだろうか
生きる意味さえ分からない僕らに

ありふれた背中には
きっとそれぞれの想いがある
流れ出した世界の中で
僕らは舟を漕がなければならない


自由詩 北極星は北に見える Copyright プル式 2006-08-27 12:52:26
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