空を見上げる野良犬は
ぽえむ君

人が集まるコンビニに
どこからともなく一匹の
野良犬がやってくる
ドアの横に礼儀正しく
来客の邪魔にならないように
座り込む

空を見上げる野良犬の
その眼はどこか悲しげで
世の中の不幸を背負った眼差しと
動かぬ姿勢は
人の心を動かせる

だからといって
誰かが食べ物を与えるわけでもなく
一日が過ぎてゆく
きっと誰かが世話をするだろう
自分とて同じだった

空を見上げる野良犬は
何日も何日も
同じ時間にやってきて
同じ時間に去ってゆく

ある雨の日だった
空を見上げる野良犬は
いつもの場所で
倒れて息が止まっていた

空を見上げる野良犬は
白い毛並みが灰色で
空を見上げることを失った

人が集まるコンビニの
憐れな動物を
きっと誰かが処理をするのだろう
自分とて同じだった


自由詩 空を見上げる野良犬は Copyright ぽえむ君 2006-08-27 07:26:09
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