黒い大地
結城 森士

金属が激しく鳴り響くような盲目の世界で
sufferの影の歩みに合わせ荒い呼吸を繰り返す大地

風すら消えた暗闇の空間には星すら瞬くことがなく
――夜の螺旋階段を登っていく音がする――
幾千の雨の中にも霞んで消える黒い太陽の花
盲目の女は傘を差して孤独の中で震えている

sufferの黒い影は時折、裸足の重みを確かめる
――乾いた扉を開ける音がする――
盲目の女はsufferの名の下に立ち止まり
旋回する意識の中で空虚は広がっていき
世界は音も立てずに崩れ落ちていった

視界から色が失われても、聴こえる音は旋回を続けた
sufferの名の下に、理由も無く涙は溢れる
世界はグルグルと回り続け、音も立てずに崩壊する
盲目の女は黒い太陽を白い涙で濡らしている
跪き、助けを求め、奇声を上げて転がり回っている
――扉の先には虚無が支配する――

傘を差した盲目の女は孤独の中で動けないでいる
滑降する焦燥に白い雨は流れ落ちていくだけである
長い黒髪は雨に濡れ、しゃがみ込む女の手から落ちた傘
sufferの名の下に、誰も彼女を救うことは出来なかった



即興ゴルコンダのお題です



自由詩 黒い大地 Copyright 結城 森士 2006-08-23 13:22:00
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