否定の沼
ぽえむ君

人が創る地獄絵は
恐怖と醜さが鮮明で
人が想う天国は
幸福と美しさが不透明

人の批判は瞬時に知れ渡り
功績はすぐに消えてゆく

否定することはたやすい
ひとたび否定の沼に溺れれば
身動きがままならないまま
底のない深く暗い世界へと
身を沈める
叫んだとて
その声に救出の期待はなく
むしろ嘲笑いの声が返ってくる

しかし
否定の沼には
沈まないものがあるという

それは決して軽いものではなく
大きさにも左右されない
特別なものでもなく
誰もが持っている

光り輝くその勇気は
心を灯し
計り知れない力となって
頭の先や指先
つま先までも伝わり
語らずとも浮上させ
空高く明るい世界へと
すべてを導く
黙ったままであっても
その心に脱出の期待が強く
応援の歓声が響き渡る

否定の沼はどこにでもある
今日も誰かがそこで溺れ苦しみ
僅かばかりの誰かが
そこから這い上がる


自由詩 否定の沼 Copyright ぽえむ君 2006-08-23 07:39:10
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