笑顔
長月 猫

窓に映る自分を見てた

隣の彼女は何かと話し掛けてくる

向かいのおばさんは世間話に興じている

何もかもが嫌だった

何もかもが鬱陶しくて……

自分でもわからないものに苛立っていた

ふと……

彼女がこう言った

「貴方の笑った顔、見てみたい」と

そういえば最近笑った覚えがない

最近どころかもう長いこと笑った記憶がない

何故かそれが笑えた

何故笑ったのかもわからない

でも……

それでもいいと思った

久しぶりに笑ったせいかこれでいいと思った

突然笑い出した僕に彼女は驚いている

「何故」なんて考えるのはやめた

理由なんて必要ない

僕が笑ったという事実はそこにある

それでいいと思った


自由詩 笑顔 Copyright 長月 猫 2004-03-06 15:39:54
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