めまい
なるせ

熱にうかされたような輪郭のない浮遊感を
君にも分けてあげようか
共有するなら愛も生まれるだろ
それがたとえどんな毒薬でも

うたごえが運んだのは一握りの灰
ふれて 濡れるように
姿をかえても息づくこの心に
ふれて
だけど なかないで

ほんとうはいくらでも
この喉は遺品を吐き出せる
浴びるように繰り返した毎日に
爪を立てることだって容易い



君にだけは
牙をむけない




自由詩 めまい Copyright なるせ 2006-08-19 23:44:56
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