灯火
LEO

蝉時雨も止んだというのに
真昼の喧騒が
じりりと
耳に焼き付いたのを
両手で塞いだ

鳥の群れが西をめざし
灯火色した空に
消えていくのを
門口に焚いた火とともに
静かに見ている


この火を目印に
帰ってくるという
貴方はどこに

貴方のいない夏を
いくつ数えても
同じ景色を見ている私は

湿り気を帯びた風に
ぱちぱちと爆ぜる音をたて
小さな赤い炎が揺らめいた


自由詩 灯火 Copyright LEO 2006-08-16 02:20:10
notebook Home 戻る