言葉は溶けてゆく
ぽえむ君
暑き夏歌を詠もうと外出れば
流れる汗に言葉は止まる
詩を放棄しなくてはならないほど
言葉が出せない
頭の中で淡く思いつく言葉たちは
ペンに伝わるまでに溶けてしまう
それは熱した鉄板の上に置いた
小さな氷の如く
言葉が出てきたと思う瞬間から
気体となり頭の外へ放出されてゆく
頭の中で儚く消えてゆく言葉たちは
その体積を数千倍もの大きさに変え
暑き風とともに夏と同化する
感じるものは言葉ではなく
体中からにじみ出る水蒸気の
液体と化したものだけである
言葉が溶かされてゆく
言葉は溶けてゆく