言葉は溶けてゆく
ぽえむ君

暑き夏歌を詠もうと外出れば
  流れる汗に言葉は止まる

詩を放棄しなくてはならないほど
言葉が出せない
頭の中で淡く思いつく言葉たちは
ペンに伝わるまでに溶けてしまう

それは熱した鉄板の上に置いた
小さな氷の如く
言葉が出てきたと思う瞬間から
気体となり頭の外へ放出されてゆく

頭の中で儚く消えてゆく言葉たちは
その体積を数千倍もの大きさに変え
暑き風とともに夏と同化する

感じるものは言葉ではなく
体中からにじみ出る水蒸気の
液体と化したものだけである

言葉が溶かされてゆく
言葉は溶けてゆく


自由詩 言葉は溶けてゆく Copyright ぽえむ君 2006-08-15 20:13:57
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