2006年夏 暑中お見舞い申し上げます
do_pi_can

湿度高き日に
あなたの白き指を想う
その指がなぞる先
北上する飛行機雲のひとすじ
オホーツクを抜け、
北極海へと達するに違いない航跡の
さて、
北の海も、夏ともなれば、
さすがに日差し浴び
白熊や一角達は
氷の上で
日向ぼっこでもしているのだろうか
その白き平原を
駆けたし想い噛み締めつつ
飛行機雲薄れ行くを眺める

風が出てきた
風鈴がチリンと鳴る
子供の頃の
小川に冷やした西瓜の鮮やかさが
目の前の安手の風鈴に重なる
今年は、明珍のすずよかな黒も錆び付いた
錆びてなお、奏でる音の清らかさよ
しかし、今年は一休みだな
甲冑師の想いを辿れ
赤錆びた鉄の風鈴よ
縁の欠けたグラスに氷を入れ
四国の栗焼酎を注ぐと、
氷は俄かに弾け、ヒビ割れる
冷やし素麺をすすろうか、
それとも焼酎を先にふくもうか
迷いながらの午後
暑さを想いつ
お見舞いの言葉を転がしてみる

梅雨前線は北上した。
南の海上に熱帯低気圧の渦の幾つか
ラジオでは、今日も熱い一日だと言っている
冷やし素麺の鮮やかさと
栗焼酎の清清しさと、
播州の稲穂を揺らす風を友として
あなたに
暑中お見舞い申し上


未詩・独白 2006年夏 暑中お見舞い申し上げます Copyright do_pi_can 2006-08-15 00:12:26
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