灯篭流し
海月

灯篭流し

闇夜の川にぽつりぽつり
小さな灯火を灯して
緩やかに流れて行く

思い出を一つ一つ
灯篭の中に詰めて
順番を待つ

貴方のことを想い
先に行く灯篭を
静かに見送った


夜風に揺れて
波に煽られて
揺らめく心の奥底
貴方は僕の中で生きている

去年から出来事を話す
一方的に話していて
ごめんね
そう言えば、昔もそうだったね...
貴方の話を聞く事が少なかったね...

砂利の音が響く
啜り泣く声を押し殺す様に
誤魔化すには役不足
皮肉ったけど
少しだけ感謝した

僕の番が・・・君と別れる時が・・・
まだ、伝えたいことが在るんだ
時間が止まってくれたなら
この気持ちを伝えられるだろう
未だ変わらぬこの気持ちを
貴方に伝えられるだろう

灯篭に灯した貴方の命
僕の手をゆっくり離れて
水面の上に立ち
緩やかに流れて行く
僕の手の届かない場所に




自由詩 灯篭流し Copyright 海月 2006-08-11 21:17:36
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