はるかなるオーチャードグラス
石瀬琳々
西陽が傾いてゆく
風を追いかけながら
オレンジの雲は次第に細長く
なつかしい言葉をそっと隠していった
暮れなずむ野辺は一面の草海
薊の花の谷間に静か
蝶がいる 淡い光のような点が
ロマンチシズムに口づけしたような
風が吹く 指先をはるか彼方へのばして
幼い日のオーチャードグラス
夢を見ている緑の波が
激しい心に洗われながら
ゆれる ゆれる 過ぎ行く時を
自由詩
はるかなるオーチャードグラス
Copyright
石瀬琳々
2006-08-11 09:42:35
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