あかずきん
水居佑梨

手にさげたバスケットに
お花を摘んで夢を見る
おおかみに憧れる
あかずきん

弱った人間に
優しくすると
ロクナコトがないよと
言ったのに
それでも近づくおおかみに
あたしはただ頷くだけ
あなたの中には誰かがいて
あたしの中にも誰かがいて
しがみつくことに
精一杯だった
矛盾する夏の夜

おばあちゃん
おおかみに食べられた
あかずきんは
おおかみにはなれないの

あなたを軸に世界が回り
そして世界が終わる
塗られたベンチが
いつまでも青いように
あたしの色は
いつまでも
記憶の通り道


自由詩 あかずきん Copyright 水居佑梨 2006-08-08 13:50:54
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