虚空にも雲
ku-mi

夏を迎えた空に
片方から太陽の手が伸びていく
時々、雲をつかまえながら

よりコントラストが強くなった正午
ヘッドフォンの小さな隙間から
あなたの歌声がはみだしたような気がした
6年も前の映画の主題歌
ヒロインと重なった切ないキス
不器用だったのは私

白い窓の枠にもたれて
蒸した風に目を閉じた
きっと夕方には訪れる雷雨
むらさきの稲妻を
あなたの隣で見ていたね

あの夏
私の短いすそから伸びる足に絡む
あなたの角張った膝
いつまでも解け合っていた
もう片方に時間が沈んでも

ほどよく
体の熱が冷めてきたら
3人分のご飯の支度をする
摘みたての枝豆を
ビールに添えて
先日観に行った映画の話で
いま、を囲むのだ


自由詩 虚空にも雲 Copyright ku-mi 2006-08-07 23:57:05
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