足跡、夏の
たりぽん(大理 奔)

海沿いの盆地にみちた
湿気と体温と上昇気流の
かたち、あの夏の雲
想いだけが熱いから
激しくゆらめくように
それでも
倒れるわけにはいかないから
ひとしきりの雨を
足跡にするのでしょうか
毎日、天気予報が
君の行方を予想するのだけれど
本当に見たい姿は
どこにも見えず
夏の雲、幻のように白くまぶしく
浅い傷跡をなぞるように
飛行機雲が高く交差して
入り江の夕日に私が昏睡すると
砂に倒れ込んだ体のかたちを
夏の足跡が通りすぎ
置き去りにされる
ものだけを残して
次の季節へと
洗い流して
しまうのです





自由詩 足跡、夏の Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-08-06 17:30:07
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