路地
佐藤伊織

路地
曲がり角や
塀の隙間

溢れて、揺れて
透明な線を残す

そんな隙間に隠れて
今日をやりすごしている

等しいものを
等しいとして

アスファルトに
等間隔に並べられた
家やビルに
入る資格を持たない

隙間から漏れる音を
聞いて
輪郭が ぼやける

口々に 口々が 開き
音が 耳から はじけて まわるので

歩道も
駅のホームも
みな
資格を持たない


自由詩 路地 Copyright 佐藤伊織 2006-08-05 22:46:40
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