其処には遊園地が在った
海月

今はその坂の上はレンガ造りの外壁が少し在るだけで
伸び放題の草木が絡まり合い
今はその場所には何にも無かった様な雰囲気を出しているが
其処に遊園地が在ったことを証明する様に白馬が倒れている
白馬だけど白い部分は殆ど無くて錆び付いて茶色くなっている
その瞳だけは輝かしく僕を見ている
それは誰かを背中に乗せる為に使命を果たす為に産まれた
と、語る為に道路側を見ている
車は排気ガスを吐いて白馬の横を過ぎて行く
咳き込むこともしないで一途に見つめている
思えば観覧車も無くてジェットコースターも無い
それでも僕らが子供だった頃は満足できた
メリーゴーランドに乗って世界が廻るのを楽しめた
明日にでも白馬を家に持って帰って掃除でもしてあげよう
僕が君に出来る精一杯の恩返し
其処には遊園地が在った



自由詩 其処には遊園地が在った Copyright 海月 2006-08-05 21:27:17
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