思い込みと思い込まないことのあいだ
山内緋呂子

歩道では色を楽しむ。まあ、映画や本、音楽に比べると、何も言わない子供みたいだからだ。

アーケードの花屋さんが、「おべんきょーしますよー」と伝える。
子供の頃、「お花畑に案内する」と言って、近所にある、たんぽぽばかり咲いた空き地へ、友達を連れてった。
「お花畑って、ここ?」
びっくりもされず、喜びもされなかったのでびっくりした。

そういえば喜捨は、買い物をすると必ず店員に
「僕、お勉強好きな人、大好きなんですよね」と言って、帰りに必ず、どの店で意味が通じたか、通じなかったか統計をとった。そうしている時は、あまりごはんを食べなかった。

自分が愛するものは、人も愛する、と思うのは
やめなさいよ。




トヨエは「25歳っていいよね、男の25歳っていいよね。」と、好きな男の話をずっとした後で、


「でも2番目に好きな人なの。」

「女の子みたいなこと言うのね。」と、私が言うとトヨエは、

「ほんとだ。気持ち悪い!」と言った。



家に着くと、トヨエからメールが来て





世の中で一番気持ち悪いのは自分だ





と、書いてあった。
25歳の男、についてはわからなかったけれども、それはよくわかった。







*カンチェルスキスさんとの連散文です。
前回、カンチェルスキスさん
「めかしこむジョニーとめかしこまないデップのあいだ」
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=8296



散文(批評随筆小説等) 思い込みと思い込まないことのあいだ Copyright 山内緋呂子 2004-03-03 20:18:40
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