「 紅茶神の微睡む、 」
PULL.







封を切った宇宙からは、
懐かしい薫りがしました。

お久しぶりです。
と、
挨拶をして、
あなたを二匙。

ゆっくり沸かし、
ふんわり注ぎます。

硝子の向こう、
ふるくる舞い踊り。
やがてあなたは、
しずか底に沈みます。


夏窓からは、
いつの日かの波音。
机には、
雨からの絵葉書。

紅茶神の微睡む、
ひとしずくの午後。
琥珀の彼方に、
月が浮かんでいます。












           了。



自由詩 「 紅茶神の微睡む、 」 Copyright PULL. 2006-08-03 14:06:54
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