てるては
木立 悟




片葉だけが聞こえ来るとき
片葉は片葉の前にいる
片葉は見えず
片葉はふるえ
片葉は片葉と片葉の重なり


羽の目から流れるひかり
左手にたまり 鉱になり
手のひらから手のひらへわたされるうち
手のひらを羽に変えてゆく
青になるもの
満たされぬもの
空になるもの
満ちたりぬもの


てるては 照る手葉
こぼれるひかり
昔ここに置かれた言の葉
胸をまるく照らすものが
土の上にあふれるように
ゆるがぬ瞳
したたる鏡になるように


道が斜めの影に覆われ
静かに羽の日々は傾き
川の波は小さく増して
空は少しだけ地から離れる
飛びつづける一羽のからだとかたち
ひとつのいのちの大きさの分だけ


知らぬまに鉱を手わたされ
葉の目は羽にひたされる
金と緑にはばたくすがた
うたいつづける子に触れるたび
何も持たずに生まれ来るもの
葉と羽のはざまに降りそそぐ















自由詩 てるては Copyright 木立 悟 2006-07-28 17:30:04
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