“ヤラセか、その瞬間を狙っていたのか”と責めたてられ
キャパは口を閉ざしてしまった
頭に被弾した兵士の写真 真相は闇の中
やがて彼の肉体もカメラとともに地雷で散った
病弱の祐三は自分で絵を完成させることが出来ず
多くは妻によって加筆されていた
パリの冷たい雨に打たれ
身も心も壊して精神病院の一室で三十の最期を迎えた
“悲劇的な人生はロマンティックなのよ、
それが他人の人生ならね・・・”
サリーの考えは多分当たってる
チャーリー・ブラウンは腑に落ちない様子だけど
誰かの嘆きも あなたの痛みも
正直言えば私の身にはしみない、私の痛みが結局は誰の身にもしみないように
ただそこにあるのは絶大な想像力と
どうにも比べられない 人それぞれに目盛りが違う感情の物差し
心はいつも揺れ動いている
誰かや何かや私自身が 絶えず私を導く
退廃してるって はたから見てる人に思われても構わない
言いたい人には言わせておく
残していたいのよ
軌跡なんて大げさなものじゃなくてさ
カタツムリが銀色に濡れた道をたなびかせている
私は時々立ち止まってそこにしおりをはさんでおく
“一生の間で
自分が何を考えてたか知れるのは、知り続けられるのは
自分ただ一人だけ こんな面白いことってないよね”
四年前 水しぶきのように私の目を覚ました
あなたの言葉が今もグルグル回ってる
(1998.7)