えんぷてぃ・はあと
モーヌ。




ぼくの 守護天使が 堕ちて いった

それに さよならを 言えなくて

それを たどって いった





花咲いていた 時世ときよには 終わりの 結び目が なかった

それは 知らないうちに 終わり だった んだ

告げられた ことを 知らないものの ように

無秩序な 神秘に 触れて いた

何かの 小説の 一行 だった

“ ローマの 夏は 明るい 陽射しの なか 快く 暖かい ”

( そうして )

( ぼくたちは )

白い スブロの スライドの 残響を 融和 して いた





...デッドパンの 都市から 疾走 する

太陽風の かなた へ

ぼくらは 麦わら帽子を 炎上 させて

ヘリオポーズの 行人と 砕けて いった 堕天使に なった

眼の まえには 愛 が...

いつも 古ぼけて いつも 新しい ものが

木枯らし で 溶接 されて 吹きちらされた ままに あった

くりかえされる 嫩い 幻花の まま 象牙の丘 から

水の 冒険を 走った

敗れてゆく クリアー 泥だらけの ピュア

水珠凍波みずたまとうはの 遊ぶ 夢の 疾風... 怒涛へ と...





何の 乾し草も なく 踊る 少年たちが

何の 痛みも なく 腐乱 して ゆく

( 夏... ) だまっている 唄と 響きは 鎮魂に 傾いて

淡く 奏された オルガンが 田園と 風車の 絃を

かすめ ながら とまらない空 から 伸ばされた 手袋を

すりぬけて ゆくの でした





すると 恒星風に 吹かれて

恍惚も なく 放たれて あった

古拙な 造りの 琥珀の びんの 濃い 放物を

活車する 燐光が 直立する 岸へ

それは もうひとつへの 旅へ と 流れ 着き

木蔭に 残った 水たまりに 映って いる

浮雲が 描いた 戯れの 声たちが

唱される なかを かるく 渡って 咲き

真珠いろの 小鳥たち 真っ青な 飛魚たち が いて

ぼくの まえに 横たわった 赤ン坊の ような 島々 は

有明の ように 静かに まなこを 開けて うるんで いた















自由詩 えんぷてぃ・はあと Copyright モーヌ。 2006-07-24 16:57:11
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