風車
海月
緩やかに伸びる陽射し
カーテンの影が揺らめく日曜日
君のいないソファーに転がり
時の流れを穏やかに感じています
淹れたての珈琲の芳醇な香り
苦味の中に隠した砂糖の甘さ
見えない部分で支えてくれる
君の心の奥底の支えに
僕はそんな存在になりたい
からから かたかた
音を出し廻り続ける風車
去年の縁日で買って来てから
一日も休むことなく廻り続ける
新しい人を思いに焦がれても
君は僕の心の奥底を強く縛る
それを解く事が忘れること
昼下がりの夢の中
君は僕に語る
糸を引っ張れば全て解けるよ
切ない横顔は闇の中へ消えた
夕立の中
慌てて洗濯物を取り込む
いつもは取り込まないサンダル
今日は家の中に入れたくなった
おかえり
と、呟く僕の声に
ただいま
と、聴こえる筈のない君の声
風車は静かに廻っていた