風車
海月

緩やかに伸びる陽射し
カーテンの影が揺らめく日曜日
君のいないソファーに転がり
時の流れを穏やかに感じています

淹れたての珈琲の芳醇な香り
苦味の中に隠した砂糖の甘さ
見えない部分で支えてくれる
君の心の奥底の支えに
僕はそんな存在になりたい

からから かたかた
音を出し廻り続ける風車
去年の縁日で買って来てから
一日も休むことなく廻り続ける

新しい人を思いに焦がれても
君は僕の心の奥底を強く縛る
それを解く事が忘れること

昼下がりの夢の中
君は僕に語る
糸を引っ張れば全て解けるよ
切ない横顔は闇の中へ消えた

夕立の中
慌てて洗濯物を取り込む
いつもは取り込まないサンダル
今日は家の中に入れたくなった

おかえり
と、呟く僕の声に
ただいま
と、聴こえる筈のない君の声

風車は静かに廻っていた


自由詩 風車 Copyright 海月 2006-07-23 23:24:09
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