きもちのうた
草野春心



  ぼく みつめている きみを
  きみ みつめられている ぼくに
  いつまでたってもどこまでいっても
  やまびこしない ひとみのやりとり



  言葉は 言葉じゃない
  ほんとの愛は 愛じゃない
  めのまえに いっぽんの木がたっていて
  ぼくは むかしを おもいだしていた
  きもちのなかの きもち を さがして



  ひが かたむきかけてきて
  だれが だれだか わからないんだ
  ぼくは ぼくか? きみが きみか?
  ひが かたむきかけてきて
  こわくて こわくて たまらないんだ
  テレビをつけても ラジオをきいても



  ねむってしまう そのまえに
  うたと 絵本と おかあさん
  きづいてほしいな ぼくに
  どぎまぎしたり おろおろしたり



  わかってほしい なんて 言わない
  ただ



  みつけてほしいよ ぼくを
  ひとみの ひかりを つかまえてみてよ
  めのまえに いっぽんの木がたっていて
  ぼくは むかしを おもいだしていた



自由詩 きもちのうた Copyright 草野春心 2006-07-23 11:16:31
notebook Home 戻る