【短歌祭参加作品】半裸少年
石瀬琳々

放課後のプールサイドに一人きり石を投げれば割れる太陽


まだ細い腕もいつかはヘラクレス鏡にうつる半裸少年


肝だめし墓場を歩く君とぼく怖くないよと結ぶゆびさき


花火あがる綿菓子くわえ駆けだすよ土手の先には大輪の菊


届きそうで届かぬ星に夢をみるせめて手のひら蚊帳の蛍


海マニア光る波間に飛びこめば何かが足を引っぱってゆく夏


かき氷青いシロップ銀のさじ冷凍都市の甘い誘惑


雷雨過ぐすいか畑の君とぼく痛くないよと交わすくちづけ


入浴剤お風呂に入ってくつろごう温泉気分名湯きぶん


キスの闇ミントの香り熱い舌夜更け夢みる青らむ果実


祭りのあと半裸少年たそがれて夏をかじれば走る夕立











短歌 【短歌祭参加作品】半裸少年 Copyright 石瀬琳々 2006-07-21 14:54:34
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薊道