未来手紙
海月

過去の私
誰かに理解してもらおうなんて思いたくない
そんな事を考えて数年が経つ
共に過した月日に傍に在るのは治らない病

例えば、「おやすみ」と言って欲しいと頼む
そしたら誰かは「おやすみ」と呟いてくれる
私は其処で暗闇に引込まれる
実は迷惑だから言っている?
扱いに戸惑ったから・・・
そんな考えが現実の優しさを凌駕する

今日、過去から手紙が来た
小学一年生の時に初めて行った博物館
恐竜の骨とか何か色々合った

未来の自分へ
      手紙を書こう!!

お小遣いの百円玉一枚を握り締めて
未来の自分に手紙を書いた

わたしはげんきですか?
ケエキケーキはすきですか?
しょうらいはケエキケーキをつくっていますか?
しょうらいはケエキケーキやさんになっていますか?
がんばってください

過去からの自分宛の未来手紙
質問の答えに戸惑い
少しだけ笑えたのかな?

私は元気とは言えないけど、毎日を過しています。
ケーキは相変わらず好きです。
ごめんね。
過去のわたしの夢は叶えらずにいます。
もう少しだけ待っていてくれないか?
何処かで頑張れそうだから・・・

同情なんてしないで欲しいと思って
移り変わる季節の破片を集めずにいた
それを君はゆっくりと集めていたんだね
ありがとう
と、呟く息が白くなったら冬になっている
時間の流れは緩やかに進む
さらに私は穏やかに歩いているけど
文句も言わず私の後ろを君は歩いているんだね
ありがとう

今日も電車に乗っていると人が怖くて
いつも途中で降りてしまうんだ

今日も本屋で本を読むと店員が怖くて
何にも本が買えなかったんだ

今日もバスを使うために列に並ぶと人々の視線が怖くて
バスを使うことを止めたんだ

今日も公園で一人昼食を取っていると管理人が怖くて
昼食が食べれなかったんだ

過去の私に交換日記を書いています
何にも*1は書いてないけど
それだけ十分なんだ

なんでもないけど・・・
私は笑えているかな?
過去の私は未来の私に言伝

がんばってください


*1 過去の私



自由詩 未来手紙 Copyright 海月 2006-07-19 15:26:59
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