夕日とMと私の詩 三つ
さくらほ

* 逢う魔が時 *

逢う魔が時に
夜が浸透してゆく

何も起こしてはならぬ
何も触れてはならぬ
何も感じてはならぬ

まなざし以外は
重ねてはならぬ

流されてはならぬ
逢う魔が時に





* 夕時の風 * 

手のひらを
夕日に向ける

私の手が
赤く透けて
風を歌う

歌え
この無常の世に
生まれては消える情を


この燃える手に
何をつかもうか

ほしいものは
全てあの夕日の向こう

届くものは風
ただそれだけ




* 夕焼けの詩 *

ねえ
してはならぬ恋だから
あなたの笑顔が
まぶしすぎたのかもしれない

あなたの優しさに
何度もおぼれようと
思った事もあったんだ

もう
あなたに
会わないけれど
あなたのいた風景に
あなたを
探してしまう


あの夕焼けは目にしみると言ったら
「ばあさんみたい」と笑ったね

二人を包んだあの夕日は
夢うつつに
遠い記憶


許されると
許されようと
思っていた
あの夏の日


自由詩 夕日とMと私の詩 三つ Copyright さくらほ 2006-07-18 15:14:36
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