沢子、ぼくは何書いてんだろう
tonpekep

じゃあ あたしは何なのよ
そう言う沢子の声を
尻を掻きながら聞いている
ジャガリコはとても美味しい

でも沢子なんて女はいない
じゃあ あたしは何なのよ
そう呟いている自分
そう呟いてしまった後で
沢子のことを考えている

さて
という独り言が
バランスを保ちながら
ぼくのこころの中の海上を
つな渡りしている

それが人生という意味に一番
近い表現のような気もする

さて

煙草が値上がったということで
さんぱつ屋さんで髪を切る
バッサリと刈り上げにする

バッサリと刈り上げ願います
バッサリですね!
大きな声で言わないで欲しかった

バサバサ切られる髪を見つめている
思いの外にたくさんの白髪が落下してゆく

白い落下速度の中に
神さまを捜し出そうと凝視してみたが
次第に莫迦らしくなって
出た言葉が
「う〜ん マンダム」
なんて素敵に伊達ものだろう

伊達ものだなんて思ったと同時に
松山を思い出した
「坊っちゃん」は好きな小説のひとつだった

百済ないようにも感じる連鎖の中で
伊代ちゃんを思い出した
伊代ちゃんを思い出してしまったことで
昭和の後半という時代は
確かに笑ける時代だったと
センチメンタルジャーニーを口ごもってしまう

伊代はまだ
16だから
センチメンタル
ジャーキー

眉毛の下は剃ってイイですか
眉毛の下は茹でてイイです

切れていますか
いいえ切れてないです

そんな会話が
平成ヒューマニズムを引っ張りつづけている

サッカー選手のことを
ずっと話しかけてくるさんぱつ屋の若僧の
染め過ぎた頭を見つめていた

購入しつづけている金は
1g弐千円を超えたことを思い出し
そろそろ売却しちゃおうかなって思った

相槌を打ちつづけていると
いつの間にか金太郎飴のことを考えていた

漫画のナルトのように
分身の術が得意であるなら
仕事をするだけの自分
本を読んでいるだけの自分
韓国語を勉強しているだけの自分
ギャンブルをしているだけの自分
旅をしているだけの自分
sexをしているだけの自分
美味いものを食べまくっているだけの自分
そして詩を書いているだけの自分と
分業制にしてみたい

展開すれば
日本語なんてひとつもないことに気づいた

江戸時代の船場のことなど考えている
船場には日本中の船が集まっていた
千石船は夢を搾取しつづけていたのかもしれない

荷が下ろされて
たくさんの夢が船場の蔵の中に蓄積される

船場は夢の重さに耐えきれず
あちこちで
大きな音を響かせては底を抜かした
夢は儚い

つゆとおち
つゆときえにしわがみかな
浪花のこともゆめのまたゆめ

城攻めはわしにまかしてちょ!
城攻めは得意中の得意だぎゃ!

船場の妻は
そんな生活が耐えられなくて
よく実家に帰った
それが日本の伝統になる

一所懸命に
自己中心でありたい
一所懸命に
自己中を守りたい

かなしいもんが溢れつづけている
自己中にダムのようなものを築いて
かなしいもんを堰き止めたなら
誰かを幸せにできる電力を作れるだろうか

夏のお茶漬けにしば漬けは美味しい
さらさらとお茶漬けは食道を下る
さらさらとお茶漬けが流れていった後で
らっきょを食べるとものすごく美味しかった

沢子と呟いてみた


自由詩 沢子、ぼくは何書いてんだろう Copyright tonpekep 2006-07-18 10:19:11
notebook Home