フー(あらゆる)
黒川排除 (oldsoup)
やすらぎホームに行くバスさみしい道路にしていく
夜が攻めてくる日を嘘で塗り固める
屋根の上はいつも空もう窓を開けない
餅飛び去る洋上いまさら焼け始め
裾から施設がはみ出てうずくまる路上
振り上げた竹刀にも似てエレベーター
午後は庶務ですピンポーン閉じたトランクから
泣いて逃げるいとこの子足元に風鈴拡げ
風受けてふくらむ川に象並ぶ
塩を盛る半透明になりかけて
鶴の影雪原覆う頃誕生日
ものかげに休憩している花と空気
浮力にて鳥を促す谷の底
波をひとりと数えるならふたりきりの夜
淡い思い出の中に靴磨きの亡霊
傷む月を背に手紙待つ黒山羊伯爵
何のため朝であり夕方である空
鉄串刺し花が供えてあれば死地
風吹いて影も形も入れ替わる
雫が雫であったとき街はいちぐらむ