月のようでなく蜻蛉
たりぽん(大理 奔)


月のようでもなかった私は
君にうすぼんやりとした影を
もたらしたり
することもなかった

輪郭を
持ちはじめた気持ち
境界を求めてはいけなかった
あいまいなまま

分針が何度、時針を追い越せば
一日が計れるのだろう
それとも膝を抱えていれば
また夜は来るだろうか

儚いものの棲むという
わずかな流れと
小さく震える草いきれ
水面に寂しくうつったものは

さあ、まるで
月のようなものじゃないか
薄ぼんやりした影を
私に与えず

別れの挨拶に軽く手を振る
輪郭は水晶体で奪われ
浅い夢の記憶
蜻蛉の行方







自由詩 月のようでなく蜻蛉 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-07-17 00:09:25
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私的星座盤